仲田の森遺産発見プロジェクト！ | 東京ウェッサイ

今回の立川空想不動産のゲストは、日野で「仲田の森遺産発見プロジェクト」という活動を行っている酒井哲さん。

JR日野駅から旧道を多摩川方面に15分ほど歩くと、緑溢れる森に辿り着きます。「自然体験広場」として市民から親しまれているこの場所は、
昭和55年頃まで農林省の「蚕糸試験場日野桑園」でした。主に栽桑と育種の研究が行われていましたが、昭和55年に試験場が筑波に移転したのち、広大な敷地の南側の桑園はスポーツ広場、北側は仲田小学校に生まれ変わりました。しかしながら、試験場の建物があった一帯はフェンスに囲われ、取り残されたように人々から忘れ去られてしまいました。
そして30年の月日が流れ、周辺の街が変化していく中で、フェンスの内側に「森」が生まれました。

そんな「自然体験広場」で毎年8月に2日間だけ「ひのアートフェスティバル」が開催されています。2010年で14回目を迎え、音楽やアートを楽しむ多くの市民が集う賑やかなイベントになっています。私たちはこの地域に長く親しまれてきた「仲田」という名称を用いて、2009年に「仲田の森遺産発見プロジェクト」を立ち上げました。そして、この場所にある自然だけでなく、廃屋を含めて仲田の森の「遺産」としての魅力を紹介することを目的としてアートフェスティバルに参加しました。

2009年は仲田の森に現存する旧蚕糸試験場の遺構（コンクリートの基礎群、桑ハウス：旧第１蚕室、カッパハウス：旧第６蚕室）をありのままに見てもらうことで、ここに蚕糸試験場があったことを知ってもらうインスタレーション等の企画を行ないました。

2010年初夏、仲田の森の一角で新設の体育館（ふれあいホール）の建設工事が始まりました。森の東側に位置していたカッパハウス（旧第６蚕室）は解体が決まり、多くの樹木も伐採されました。直接体育館の敷地にかからない桑ハウス（旧第1蚕室）は解体を免れましたが、その後の方向性が定かでない状態となっています。

2010年は、この桑ハウス（旧第1蚕室）にスポットを当て、来場者参加型のインスタレーション：「桑ハウス・ツーデイ・リノベーション」を実施し、桑ハウスが単なるボロ屋ではなく、現在でも色褪せない魅力があり、そして今後もこの空間が使えるかもしれないという活用のヒントを実演しました。

「仲田の森」の自然や蚕糸試験場の歴史に光をあて、その価値や意味を問い直し、これからの「仲田の森」をみんなで考えていくきっかけにしたいと思っています。

そんな酒井さんに、「仲田の森遺産発見プロジェクト」の現在と、今後の展開について伺いたいと思います。

ゲスト：酒井哲

【仲田の森遺産発見プロジェクト】
http://townfactory.jp/category/column/exhibition-art
共催：
TownFactory一級建築士事務所、
法政大学エコ地域デザイン研究所、
自然体験広場の緑を愛する会

後援：
神楽坂建築塾