木造賃貸アパート再生のレシピ | 東京ウェッサイ

2009年度、北沢で一軒の木賃アパートを再生してから一年。あの肉体系社会派プロジェクトが、株式会社エイブルと恊働し、産学連携プロジェクトとして復活しました！今年は、前回のメンバー＋新規メンバーの総勢13人の学生で、東京都調布市内にある木造賃貸アパートを3軒、同時再生しました。

ワークショップ形式でプロジェクトを進め、現代の暮らしや木賃アパート独自の価値を再考しながら、新たな生活像と生活環境を提案し作りました。制作過程や様々な提案は、「木賃再生レシピ」としてまとめ、木賃アパートの同じような問題を抱える人々に対して公開予定です。

■ 木賃再生レシピ

本プロジェクトは「木賃再生レシピ」を作成し、公開します。再生レシピは、木賃アパートのための、「デザイン」「アイディア」「工夫」「発想」がコンセプトや手順としてまとめられた木賃再生のためのマニュアルであり、お助けツールであり、ヒント集です。ゼロから解決を考え出すのはとても大変なことですが、木賃再生レシピは、「木造賃貸アパート」のための問題発見と解決がつまっています。今回再生する三つの物件もレシピを基にして再生されました。

■ リフォームでもなく、リノベーションでもない方法

建物に関わるあらゆる人が物件の価値向上に関与できるはずです。物件の価値向上とはイコール、よりよい住環境づくりのことです。ちょっとした工夫やアイディアを積み重ねていくことで物件価値を上げる方法があるはずです。現状の賃貸物件を更新する方法は大きく二通りしかありません。①業者による原状回復／設備機器のグレードアップか、②デザインを重視したプロの建築家やデザイナーによるリノベーションの二通りです。前者は一般的な方法で安価に更新可能ですが、物件の根本的な価値を変えることはできません。故に物件価値は下降線を辿ります。後者は物件の価値を180度転換することはできますが、非常に高額で、特殊なケースに限られます。そこまで資金的余裕と好条件が揃っている物件は稀です。

■ 住環境における、供給側と住み手の関係を変えるプロジェクト

本プロジェクトは、木賃アパートの再生を通して、従来の建築・不動産・生活・アパート経営の在り方に一石を投じます。「自分の居場所をよりよくしていく。」この当たり前のことを、今の世の中で実現するのはとても難しいことです。建物をいじる余地はどこにも残されておらず、賃貸契約だと壁に傷ひとつつけることすら許されません。みんな与えられた箱で満足する方法しか持ち合わせていません。圧倒的な総量で、生活を一方的に均質化する箱と仕組みが日々増え続けています。木賃アパートの再生を通して、住み手と供給側の間にある様々なものの関係性を変えていくことを目指します。「供給側」と「住み手」に入る主語は様々に入れ替え可能です（オーナー、大家さん、不動産管理会社、リフォーム業者、工務店、大工さん、住人、管理人、隣人、近所の人、etc...）。建物そのものや、それを取り巻く仕組みや関係者の意識を変革していく事で、よりよい住環境の在り方を提示していきます。

上記のヴィジョンを実現するために三つのアプローチをとります。本プロジェクトにおける私達の、木賃再生に対す基本的な姿勢です。

■ 三つのアプローチ

① 部分から思考し、ものをつくる
② 工夫のできる仕組みをつくる
③ 継承する素材を探求する

HP：http://www.mokuchin.jp/
ブログ：http://mokuchin.blogspot.com/