どこまで備えれば憂いなし? | 東京ウェッサイ

今回の震災において被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、今現在も(自分も含め)多くの人たちが二次災害や余震への恐怖に怯えている状況が続いています。
こういった甚大な被害を目の当たりにして、巨大な建築を設計する一人の設計者として、圧倒的な無力さを感じざるを得ません。またエネルギーやインフラと言ったものがいかにまちや建築を支えているか実感します。

今回は、巨大建築の専門家として、皆様にお伝えできる何らかのお話があるのではないかと考えました。そこで少々かたいテーマですが、地震をはじめとした災害リスクのマネジメントについて考えてみます。

防災を考えるとき、皆さんはどの程度のリスクを想定し、どの程度の準備をされるでしょうか?また天災と人災の違いについて考えられたことがあるでしょうか?
個人レベルでは、自分の職場や自宅は地震で壊れないかをチェックしてみたり、近所に避難場所を想定してみたり、非常食を常備してみたり、という方策があるかと思います。
また法律や条例では、地域のハザードマップがあったり、大きな建物には消火ポンプを設置したりする設置基準が設けられており、その方針に従って、まちや建築が設計されることになります。
しかし、個人でできることには限界があるし、法律で規定されている防災に関する項目が必ずしも安全を保障するものでないことは今回の震災を経験されて実感されていることと思います。

そこで、個人のつながりである地域や、公共的建築物のレベルでできる災害マネジメント、また確率論に基づく災害リスクマネジメント、新しいエネルギー、インフラ、ライフスタイルについて、なるべく「建設的に」お話できればと思います。

塩浦 政也

塩浦 政也 Shioura Masaya
株式会社日建設計

1972年東京生まれ。早稲田大学大学院古谷研究室を修了後、株式会社日建設計に入社。入社以来、数々の都市/建築プロジェクトを担当。国内で実現した現在までのプロジェクトの床面積を足すと東京ドーム12個分に及ぶ。その一方で小規模プロジェクトや家具デザインも進行中。テーマは「犬小屋から超高層まで。」
近年は組織デザインにも参入し、今年から日建設計内に新チームcloudを設立。